ROS2 Jazzy の Ubuntu24.04 へのインストール手順
(掲載 2025年07月01日)
まえがき
ROS2をUbuntuにインストールする手順を解説します。Ubuntuについてはインストール・初期設定が完了しているものとします。
ROS2の各ディストリビューションは、インストール可能なUbuntuのバージョンが決まっています。以下に対応を示します。
ROS2ディストリビューション |
Ubuntuバージョン |
公開月 |
サポート終了月 |
ROS2 Humble(LTS) |
Ubuntu 22.04(LTS) |
2022/05 |
2027/05 |
ROS2 Jazzy(LTS) |
Ubuntu 24.04(LTS) |
2024/05 |
2029/05 |
ROS2 Kilted |
Ubuntu 24.04(LTS) |
2025/05 |
2026/12 |
(現在サポート中のROS2ディストリビューションのみを記載しています)
この記事では、「 ROS2 Jazzy と Ubuntu24.04
」をターゲットとして解説します。
インストール手順はすべてのディストリビューションで同様であるため、Jazzy以外のディストリビューションを利用する場合には適宜内容を読み替えてください。
ステップごとの解説
1. ロケール設定
ROS2のインストールには、UTF-8のサポートが必要となります。
ターミナルを開き、localeコマンドを実行して表示を確認してください。以下の表示であれば設定は不要です。
$ locale
LANG=en_US.UTF-8
または
$ locale
LANG=ja_JP.UTF-8
別の表示であった場合、以下のコマンドを順番に実行し、UTF-8サポートを有効にしてください。
$ sudo apt update && sudo apt install locales
$ sudo locale-gen en_US en_US.UTF-8
$ sudo update-locale LC_ALL=en_US.UTF-8 LANG=en_US.UTF-8
$ export LANG=en_US.UTF-8
2. リポジトリの有効化
2.1 Ubuntu
Universeリポジトリの有効化
ROS2の動作に必要となる多くのパッケージは、UbuntuのUniverseリポジトリに含まれています。Universeリポジトリは無効になっている場合があるので、明示的に有効にします。
まず、Universeリポジトリを有効にするための、software-properties-commonをインストールします。
$ sudo apt install software-properties-common
次に、Universeリポジトリを追加して有効にします。
$ sudo add-apt-repository universe
2.2
ros2-apt-sourceパッケージのインストール
ros2-apt-sourceパッケージは、鍵とaptソース設定を提供するパッケージです。これを導入することにより、ROSのインストールやアップデートが簡単になる、セキュリティが担保される等のメリットがあります。
まず、パッケージの.debファイルをダウンロードするためのcurlをインストールします。
$ sudo apt update && sudo apt install curl -y
次に、GitHub API で ros-apt-source
の最新リリース番号を取得します。
取得した番号は、環境変数 ROS_APT_SOURCE_VERSION に保存されます。
$ export ROS_APT_SOURCE_VERSION=$(curl -s https://api.github.com/repos/ros-infrastructure/ros-apt-source/releases/latest | grep -F "tag_name" | awk -F\" '{print $4}')
その後、curlと取得したリリース番号を使用してURLを生成し、そのURLからros2-apt-sourceの.debファイルをダウンロードします。
$ curl -L -o /tmp/ros2-apt-source.deb "https://github.com/ros-infrastructure/ros-apt-source/releases/download/${ROS_APT_SOURCE_VERSION}/ros2-apt-source_${ROS_APT_SOURCE_VERSION}.$(. /etc/os-release && echo $VERSION_CODENAME)_all.deb"
最後に、ダウンロードした.debファイルを用いてros2-apt-sourceをインストールします。
$ sudo apt install /tmp/ros2-apt-source.deb
3.
ROS2・開発ツールのインストール
ROS2リポジトリの設定を行ったので、ROS2本体のインストールを行います。
まず、パッケージリストとUbuntuシステムを最新にします。
$ sudo apt update
$ sudo apt upgrade
次に、ROS2 Jazzy のデスクトップ版をインストールします。
$ sudo apt install ros-jazzy-desktop
ROS2のデスクトップ版は実行環境のみを提供しているため、ビルド等が実行できません。
そのため、開発が必要な場合は、ROS2開発ツールを追加でインストールします。
$ sudo apt install ros-dev-tools
これで、ROS2の開発環境を構築することができました。
4. 動作確認
ROS2が正しくインストール完了して使用できるかを、サンプルコードTalker-Listenerを動作させて確認します。
Talker-Listenerは、
- メッセージを送信するTalker
- メッセージを受信するListener
を同時に起動し、それぞれの間でメッセージが送られているかを確認できます。
まず、新規にターミナルを開き、Talkerを起動します。
ターミナルを開いた際には、sourceコマンドを実行し、ros2コマンドが実行できるようにします。
$ source /opt/ros/jazzy/setup.bash
$ ros2 run demo_nodes_cpp talker
Talkerが起動すると、1秒おきにメッセージを送信しているログが表示されます。
[talker]: Publishing: 'Hello World: 1'
[talker]: Publishing: 'Hello World: 2'
[talker]: Publishing: 'Hello World: 3'
...
次に、もう1つ新規にターミナルを開き、Listenerを起動します。
こちらもTalkerと同様に、sourceコマンドを実行し、ros2コマンドが実行できるようにします。
$ source /opt/ros/jazzy/setup.bash
$ ros2 run demo_nodes_py listener
Listenerが起動すると、Talkerから送られてきたメッセージを受信して表示しているログが表示されます。
[listener]: I heard: [Hello World: 1]
[listener]: I heard: [Hello World: 2]
[listener]: I heard: [Hello World: 3]
...
どちらも正しく表示されている場合、ROS2が正しくインストールされ、使用できる状態となっています。
まとめ
ROS2をUbuntuにインストールし、サンプルプログラムの動作確認を行いました。
SRAでは、ROSの環境構築から各種開発まで幅広く支援いたします。(お問い合わせはこちら)
参考: Ubuntu
(deb packages) — ROS 2 Documentation: Jazzy documentation