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2000年 4月、Olivier Tubach のところへ彼の上司が、「要望」とある質問
を持ってやって来ました。要望というのは、彼らの 794,000 行にも及ぶ特殊効果用アプリケーション Dutruc を IRIX から Windows へ移植して欲しいというものでした。質問はこうです。「いつまでにできるかい ? それをやって欲しいというクライアントがいるんだよ」
パリにある映画のポストプロダクション会社 Duoi の Dutruc プロジェクトマネージャの Tubach は言います。
「Tex Avery の映画に出てくるマウスのような心境でした。私の足は地面に接着されていて、空から私の頭上めがけて落ちて来るピアノを見上げているというわけです」
Duboi (http://www.duboi.com/)
は、その特殊効果、映像合成、フィルムの取り込みと出力、リアルタイム色評価の技術で世界的に認知されています。SFX 用のアプリケーションである Dutruc は、極めて大きな規模の映像合成ツールでした。
Tubach は説明します。
「いわば映像のためのフォトショップのようなものです、Alien Resurrection (エイリアンの復活)、A sterix & Obelix I と II、The Ninth Gate といった 100 以上の映画が、Dutruc のデジタル処理マジックの恩恵を受けています。
最近のものでは、Montmartre の Amelie ですね。こいつは世界的な成功をおさめました」
2 つの理由 : 時間、そして時間
2000年 4月までは、彼らのツールは IRIX 上で動くのみでしたが、すでにそういった制限は耐えられないものになっていました。しかし Dutruc のようなアプリケーションをどうやってポーティングすれば良いのでしょうか。
Duboi の開発チームは、OpenGL と Windows NT に対応していて、ソースコードが提供されるプラットフォーム非依存の GUI ツールキットを必要としていました。二つの商用ソフトウェアがこの要求を満たしました。wxWidgets (当時 wxWindows) と Qt Development Frameworks, Nokia (旧 Trolltech 時) の Qt です。15 日間の詳細な評価を経て、彼らは Qt を選択しました。選択の理由は、時間、そして時間です。
その時、Duboi は不可能な開発スケジュールに対応する必要があり、開発者達は直ちに開発に着手することが要求されました。Qt はこれを、次の 3 つの方法で実現しました。分かり易いことで評判のドキュメント、ソースコードの公開、そしてほとんどの質問に対して、中心的な製品開発者が、ほんの数時間のうちに回答を行うとというサポートです。
Qt のソフトウェア分野における実績ももうひとつの選択理由でした。Tubach は、広く使用されている Linux の KDE デスクトップが Qt ベースであるという事実を評価しています。このソフトウェア開発プロジェクトは、安定したコードの提供と理性的な開発手法を重視しています。
「Dutruc は数時間に渡る処理を行う必要があります。アーティストは、朝の早い時間にアプリケーションを立ち上げ、仕事を終わる時にそれを閉じますので、とにかく安定して動作しなければいけません。クラッシュなどは以ての外です (おまじないのしぐさをして)」
Qt は、Dutruc 自身にそれを求めることなく、このような要求を簡単に満たしました。
「Dutruc のセッションは数千ものダイアログの生成・削除を行いますので、Qt はとても堅牢である必要があります」
Qt 中毒 !
移植を行った 4 人の開発者の誰一人として Qt を知りませんでした。しかし、彼らはそれを素早く習得し、そして、Qt フレームワークについて知れば知る程、それを好きになりました。
Tubach は言います。
「Qt はとても簡単ですので、時間を GUI との格闘に費すことなく作業に集中することができました。API は直交性に優れており、ドキュメントを深く読む必要もありませんでした。ウィジェットは実に素直に動作しました」
Motif には多機能なウィジットが少ないので、Dutruc は基本的な制御機構しか実装することができませんでした。Qt の場合、その充実した機能により、移植作業中に、動的なツールチップやツリー表示のような、洗練された制御機構の実装を簡単に行うことができました。
Tuback は言います。
「Motif ではそのような機能のプログラムを行うのはとても難しい。Qt では、この手の改良を自由に行うことができます」結局、プロジェクト全体に要した時間は 5 ヶ月でした。
「4 月に Qt の習得を始めて、移植が完了したのは 9 月でした。そして、信じられますか ? 移植の間、私は 2 週間の休暇を取ることができたのです。私達はすでに Qt 中毒ですね。もう、Motif や MFC 等の Qt 以外のソリューションについては、考えたくありません」
クロスプラットフォームの柔軟性
Duboi が Qt への移植を完了すると、クライアントは大喜びしました。何故ならば、彼らがすでに持っているプラットフォーム上で Dutruc を使用できることになったからです。現在、単一の Qt ソースツリーからなるアプリケーションは、顧客の Windows NT に加えて、Duboi 社内の Linux、IRIX、さらに最近の編集作業には Mac OS X でも利用されています。
Tubach は言います 「Qt は複雑な問題をクラスプラットフォームという方法で解決しました。今では、顧客に対して、Dutruc は Mac、Windows NT、Irix、Linux、その他のプラットフォームに対応していると言うことができます」
Dutruc のプログラマは、Qt Development Frameworks, Nokia (旧 Trolltech 時) は、普通ではあり得ないサポートを提供してくれたと言います 「彼らは、私が欲しいという理由だけで、Qt API に関数を追加してくれました」
Tubach と彼のチームは、ささいなことですが、一点だけ Qt に関して不満がありました。それについてさえ、彼が Qt Development Frameworks, Nokia (旧 Trolltech 時) に連絡した時には、すでに "To Do" リストの中に入っていると言われてしまいます。「それについては、私が Qt に関して持った唯一の不満点だったのですが、その対策はすでに計画されていました」
顧客は Tubach に、Dutruc は移植後、もっと使い易くなったと言います。それぞれのプラットフォームにおいてネイティブコードで実行される、単一ソースのマルチプラットフォームアプリケーションが開発できる Qt 独自の能力により、誰もが、彼らが欲しいと思うハードウェアを選択できる自由を得たのです。
この移植の経験の後に、Duboi 社は、今後、全ての開発を Qt で行うことに決めました。実際、Tubach は、同社の旗艦製品の大きな変更について考えています。彼は言います 「まだ先のことは分かりませんが、我々は Dutruc を完全に Qt 3 で書き換えるかもしれません」
●Duboi社 Webサイト http://www.duboi.com/
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