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GNU ダイジェスト 1992 年 6 月

GNU ダイジェストは、Free Software Foundation から 年に 2 回発行される小冊子で、GNU プロジェクト に関する情報を載せている。

Free Software Foundation, Inc. 電話番号: (617) 876-3296
675 Massachusetts Avenue 電子メイル: gnu@prep.ai.mit.edu
Cambridge, MA 02139, USA

目次


GNUスタッフの紹介                      
Free Software Foundationについて       
Copyleftとは何か                       
フリー・ソフトウェアのサポート         
GNU速報                                
特許改正では充分ではない               
LPFとは何か                            
米国政府のデータベース法案             
もう一つのフリー・ソフトウェアのサポート・ビジネス                   
GNUカーネル Hurd の特徴                
フリー・ソフトウェアを支える第一歩     
プロジェクトGNUの進捗報告              
Sun上の標準がGNUになる?                
Andrewツールキットはフリーのままである 
日本におけるGNU                        
GNUドキュメンテーション                
プロジェクト・グーテンベルクがボランティアを募集中                 
プロジェクトGNU援助希望リスト          
フリー・ソフトウェアをサポートしてほしい 
GNUソフトウェアの入手方法              
現在配布可能なGNUソフトウェア          
     Emacsテープの内容                 
     言語テープの内容                  
     ユーティリティ・テープの内容    
    体験テープの内容                  
     X11テープの内容                   
     Berkeley Networking 2テープ       
     VMS Emacsとコンパイラ・テープ     
マイクロコンピュータ用のフリー・ソフトウェア                         
Free Software Foundation注文票         
謝辞 (Thank GNUs)                      
付録  日本からのGNU情報の入手方法      

@a4book

GNU ダイジェスト

@hrule

GNU's Bulletin (英語原文) は年に 2 回発行される。GNU's Bulletin の複製希 望者は、次のような方法で請求していただきたい(注: 定期購読サービスは ない)。米国郵便局の配達地域内に在住の方 (1) は、宛名を書いた 10 号サイズの返信用封筒か、あるいは返信先の宛名ラベルを 同封する。コピー料金として小額の寄付金も含まれていればなお良いが、 必須ではない。

Copyright 1992 Free Software Foundation, Inc.

Copyright 1992 Mieko Hikichi and Nobuyuki Hikichi

本小冊子 (GNU ダイジェスト) は、英語原文 (GNU's Bulletin) をもとに引地美 恵子と引地信之が翻訳し、加筆、解説したものである。

いかなる媒体でも次の条件がすべて満たされている場合に限り、本小冊子をその まま複写し配布することを許可する。また、配布者は第三者に対して本許可告知 と同一の許可を与える場合に限り、再配布することを許可する。

@hrule

1992 年 6 月 6 日発行、第 1 版

著者、編集者: Jan Brittenson、Noah S. Friedman、 Robert J. Chassell、 Melissa Weisshaus、

@indent Richard Stallman、 Leonard H. Tower Jr.

イラスト: Etienne Suvasa

日本語版作成者: 引地美恵子(h-mieko@sra.co.jp)、引地信之(hikichi@sra.co.jp)

連絡先住所: 〒102 東京都千代田区平河町1-1-1 株式会社 SRA 電話番号:(03)3234-2611

GNUダイジェスト (日本語版) の定期購読希望者は、ボランティア作業の ため 175 円切手 x n 回 (総額相当の切手ではなく、複数枚の 175 円切手にて) を本文連絡先の引地美恵子まで送ってほしい。原則として電話だけの郵送希望に は応じかねる。予めご了承いただきたい。

原作者の意を伝えるべく英語原文の解釈に十分注意を払ったが、なお不明な点に ついては英語原文 (GNU's Bulletin vol. 1 no. 13) を参照されたい。なお、日 本のGNUユーザの事情に即した内容を加筆したため、必ずしも対訳ではない部分 があることを予めお断りしておく。

本小冊子(GNUダイジェスト)は、texinfo.texマクロの日本語版 jtexinfo.tex (アスキー版日本語 TeX と NTT 版 JTeX に対応)、アスキー版日本語 TeX、 SONY News レーザ・プリンタで作成・出力した。

GNU スタッフの紹介

@indent Michael Bushnell は GNU オペレーティング・システムに関す る作業を行ない、GNU tar を保守している。Jim Blandy は GNU Emacsバージョン 19 のリリースを準備し、 Joseph Arceneaux は今後の GNU Emacs のリリースのために有用な作業を行なっている。Roland McGrath はC ライブラリの仕上げと GNU make を保守している。

@indent Tom Lord はグラフィック・ライブラリを作成しており、Oleo という GNU 版のスプレッドシートの開発を引き継いでいる。Brian Fox は、 makeinfoinforeadline ライブラリ、bash な ど自分が作成した各種プログラムを保守し、BASH Manual を書いている。 Jan Brittenson は、C インタプリタに関する作業とGNU finger の 保守を行なっている。Mike Haertel は、POSIX に準拠した GNU grep を作成し、光学式文字認識に関する作業を開始した。David J. MacKenzie は、GNU の小さなユーティリティ (単独のプログラムで、組み 合わせて用いられない) のほとんどを保守している。

@indent Kathy HargreavesKarl Berry は、フォントの作成 (とフォ ントを作成しているボランティアの調整)、フォントを扱うための各種ユーティ リティの作成、Ghostscript の作業を行なっている。Melissa Weisshaus はドキュメントの編集を担当し、GNU Utilities Manual の 作業を行なう予定である。

@indent Noah S. Friedman は GNU のシステム管理者である。Lisa `Opus' Goldstein は、Gena Lynne Bean と共に我々のオフィスで奮闘して いる。Spike MacPhee は ソフトウェアの法律面やその他の管理業務面から RMS(Richard M. Stallman)に助力している。Robert J. Chassell は FSF の事務局兼経理担当で、 我々の出版を手掛けその他の多くの作業をかかえており、Emacs Lisp を使った プログラミングのための入門書を書いている。

@indent Richard Stallman は、Cコンパイラの保守や C Library Manual の完成に向けての作業など実に多くの仕事をボランティアとして行なっている。

@indent 最後に、メイリング・リストや gnUSENET、情報のまとめなど、電子的 JOAT (jack-of-all-trades 何でも屋) をしているボランティアは Len Tower である。

Free Software Foundation について

Free Software Foundation (以下、FSF と称す) は、コンピュータ・プログラム の複写や再配布の制限、理解と修正の制限をなくすことを目的としている。これ らを行なうために、我々は、あらゆるコンピュータ利用の分野において、フリー・ ソフトウェアの開発と利用を促進している。特に、Unix と上位互換性のある 「GNU」 (GNU's Not Unix: GNU は Unix ではない) という名の完全な統合化ソ フトウェア・システムを構成している。このシステムの主要な部分は既に動いて おり、現在それらは配布可能である。

我々の名前にある「free」という言葉は「自由 (freedom)」に属しているもので、 無料を意味する「free」ではない。GNU ソフトウェアの入手にあたって、お金を 支払ってもよいし、支払わなくてもよい。いずれにせよ、GNU ソフトウェアを入 手すれば 2 つの特別な「自由」を得る。1 つは、プログラムを複写する自由と、 友達や一緒に仕事をしている人に分け与える自由である。もう 1 つは、ソース・ コードを公開することによって、人々が思うようにプログラムを変えられる自由 である。さらに、ソース・コードを研究したり、プログラムがどのように書かれ ているかを学習することができる。これでプログラムの移植、改良が可能となり、 変更点を他の人々と共有することも可能になる。(GNU ソフトウェアを再配布す る場合は、複製をとるための実費を請求することができるし、あるいは無報酬で 配布してもよい。)

たまたま役に立つフリー・ソフトウェアを配布している組織が他にもある。FSF との違いは、FSFでは新しいフリー・ソフトウェアの開発に集中し、独占的なシ ステムを買う必要性を完全になくしている点である。

GNU を開発する傍ら、FSFは GNU ソフトウェアのテープやマニュアルの作成と配 布を配布手数料のみで行なっている。また、GNU 開発の援助のために免税物資を 受け入れている。FSF の資金源のほとんどがこのような配布サービスで支えられ ている。

Copyleft とは何か

プログラムを自由に配布する最も簡単な方法は、プログラムをパブリック・ドメ インに置き、著作権を放棄することである。しかし、この方法では、誰かが著作 権を主張し、利用に制限が課せられて、著者の意図に反してしまう。これでは、 他の人々のアクセスする権利や自由な再配布を否定することになる。

このような事態を避けるために、我々は GNU ソフトウェアの著作権を斬新な方 法で主張している。典型的なソフトウェア会社はこれらの自由を束縛した著作権 (copyright) を使っている。そこで、我々は前述の自由を守るために copyleft を使っている。copyleft は合法手段である。これは、諸権利と 共に複製物を得た人がさらにその複製物に諸権利を含めて再配布すれば、そのソー ス・コードを読み、改良することができるというものである。ソース・コードと 諸権利は法律的に切り離すことはできない。

GNUプロジェクトで使うcopyleftは、著作権告知とGNU一般公有使用許諾書 (GPL: GNU General Public License) を兼ね備えている。GPL とは、前述の自由 について基本的に述べた複写のライセンスである。また、GNU ライブラリ一般公 有使用許諾書 (LGPL: GNU Library General Public License) も用意され、 GNU のライブラリを含むものに適用される。このライセンスは、GNU のライブラ リを特定の条件下で、所有者の実行形式にリンクさせることを許可するものであ る。完全な使用許諾書の写しは、配布される全ての GNU ソース・コードや我々 が発行するマニュアルの多くに入っているが、ご希望の方には FSF からその印 刷物を郵送する。

ただし、ライブラリ・ライセンスは、実際には戦略上の後退である。GNU ソフト ウェアを基にしたプログラムは、それ自体がフリーでならなければならないと言っ ているのと同じ意味のライセンスである、ということを強調したい。しかし、ラ イブラリの場合は、フリー・ソフトウェアにおいてのみ用いられるということを 強調すると、フリーなアプリケーションを奨励するどころか、むしろライブラリ の使用を踏みとどまらせるということがわかった。

もし、ライブラリ・ライセンスによって、独占的なアプリケーションの開発者が フリーなライブラリの一層の使用と開発を促進するのであれば、より多くの GNU プロジェクトのライブラリをこのライセンスで保護しようと考えている。

我々は、あなたのプログラムやドキュメントを copyleft で保護するように強く 勧めており、誰にでもそれらを保護することができるように手続きを簡単にした。 GPL の適用方法についての詳細は、GPL の最後に記述されている。

フリー・ソフトウェアのサポート

Free Software Foundation はいかなる技術サポートをも提供していない。ソフ トウェアは作成しているが、本来の作業に集中した方がよいので、サポートを提 供して生計を立てているその他の人々のために残してある。医者や弁護士が今日 行なっているのと同様にプログラマも、サービスを提供する職業だと考えている。 医者や弁護士の医学的な知識や法律の知識はそれ自体フリーに再配布できるもの で、開業医や弁護士はその配布とサービスに対して課金している。

我々は、サポートやその他のコンサルタント・サービスを提供する人々のリスト を管理している。これを GNU サービス名簿 (GNU Service Directory) と呼ぶ。 このリストは GNU Emacs 配布テープの中のファイル `etc/SERVICE' や GCC 配布テープの中の `SERVICE' に入っている。このディレクトリの写し を入手したい人、あるいはリストに載せてほしい人は我々に連絡していただきた い。

GNU ソフトウェアに欠陥を発見したら知らせてほしい。我々は、アナウンス用と バグ報告や質疑応答用に多くの Internet メイリング・リストを持っている。こ れらのメイリング・リストは、ニュース・グループ gnu.*として USENET ニュースのゲートウェイを経由する。

Internet にアクセスできない場合は、電子メイルや UUCP に接続されている USENET ニュースから情報が入手可能である。ローカルな UUCP サイトや商用 UUCP サイトについての問い合わせ先を次に示す。

Anterior Technology,
P.O. Box 1206,
Menlo Park, CA  94026-1206
USA
電話番号: (415) 328-5615 or Fax: (415) 322-1753
電子メイルl: info@fernwood.mpk.ca.us

UUNET Communications Services,
3110 Fairview Park Drive - Suite 570,
Falls Church, VA  22042
USA
電話番号: (703) 876-5050
電子メイルl: info@ftp.uu.net

我々がバグ報告を受け取ると、ソフトウェアをより良くするために、たいていは 問題を解決しようと努力する。我々のバグ修正は、個々に対応しているように見 えるかも知れないが、実際にはそうではない。我々の仕事量はあまりに多過ぎる ので、ソフトウェアやドキュメンテーションの開発や保守のように、全体として 共同体を援助することに焦点を絞らなければならない。個々の対応のために、我々 の本来の作業を棚上げさせてはならないのである。報告されたバグを我々が解 決していなければ、バグ報告用のメイリング・リストを読んでいるその他の多 くのユーザから、回答を得られるかもしれない。さもなければ、サービス名簿を 利用してほしい。

従って、インストール・スクリプトがどのように動かないのか、マニュアルのど の部分が不明確なのか、といったことを我々に知らせてほしいのであって、ソフ トウェアのインストール方法や使い方を我々に尋ねないでほしい。

『さらに遠くが見えたのは、巨人の肩の上に立っているからである。』

-Isaac Newton

GNU 速報

『さらに遠くが見えなかったのは、私の肩の上に巨人が立っていたからであ る。』

-匿名

特許改正では充分ではない

Richard Stallman

人々がソフトウェア特許の問題を最初に調べると、悪名高い例が示され注目をあ びた。特許は、すでに広く知られている技術を網羅している。計算する前にはまっ たく変数を使わない(スプレッド・シートの「自然な順番での計算」)ような式や ビットマップ・ディスプレイの内容修正に用いられる排他的論理和の使用などで ある。

この例に焦点を合わせると、それ以外の問題が無視されてしまう可能性がある。 特許システムは基本的には正しく、個々の法律の正しい適用のためには改正する 必要がある、という見解に注意を向けさせている。

しかし、正しく適用すれば、ソフトウェア特許の問題を解決できるのだろうか? 例を考えてみよう。

1991 年 4 月、ソフトウェア開発者の Ross Williams が一連のデータ圧縮 プログラムのリリースを開始した。自分で新しいアルゴリズムを考案し、それを 使ったプログラムである。すぐに、実行速度と圧縮率の点にユーザは引き付けら れた。

引き続いて 9 月、そのうちの一つを FSF がリリースしようとしていた一週間 前に、新しく交付された特許 (番号 5,049,881) によって、米国におけるそれら のプログラムの使用が停止された。

現在の特許の法律では、一般にそれらのプログラムを使えるかどうか (つまり特 許が無効かどうか) は、「先行の技術」があるかに依存する。特許の出願(6月18 日)以前に、基本的なアイデアが公示されたかどうかである。1991 年 4 月 Williams の発表はその日を過ぎていたので、それは勘案されない。

1988 年から 1989 年にかけて、University of San Franciscoの学生が同様 のアルゴリズムについて授業のレポートで報告していた。しかし、このレポート は公表されていなかったので現在の法律ではこれは勘案されない。

正しい適用のために特許システムが改正されたとしても、この場合に何の役にも 立たない。特許システムの法律下では、6 月 18 日出願の特許は有効とみなされ る。先行技術がないからである。特許の発効 (発明の発生) 基準とするにはあま りにも不明瞭である。(ほとんどの特許と同様に、世界を震い上がらせるわけで も些細なものでもないが、その中間程度である。)これは法律自体の欠点であり、 運用上の問題ではない。

米国の法律システムでは、特許は社会と個人の契約を意味し、社会は技術の開示 により利益を得ることを想定している。そうしなければ、その技術は決して開示 されない。特許番号 5,049,881 を認めても、社会はまったく利益を得ないこと は明白である。

現在の法律では、Williams のプログラムを使える可能性は、1990 年 6 月 18 日 以前に同じアイデアを誰かがたまたま公表したかどうかにかかっている。つまり、 運に左右されていることになる。このシステムは法律業務を促進するためには有 効であるが、ソフトウェアの進歩を阻んでいる。

さらにより多くの先行技術の存在を探すよう特許庁に教えれば、とんでもない誤 りをいくつか防ぐことができるかもしれない。しかし、大きな問題は残されたま まである。コンピュータ利用分野での、いろいろな新しいアイデアに対する特許 獲得が問題である。例えば、Williams と別の人が独立に開発したという点であ る。

このままではソフトウェアを泥沼に追いやるだろう。一般に、革新的なプログラ ムでさえ数十の、それほど新しくない技術や特徴を使っており、それらは個々に特 許になっているかもしれない。そういったアイデアを我々が利用できるかどうか の可能性は、運次第である。たいていは運が悪く、ほとんどのプログラムは非常 に多くの特許侵害から逃れられないだろう。特許の迷路をうまく乗り切ることは、 プログラムの作成よりも困難になるだろう。経済学者は「ソフトウェア特許はビ ジネスにとって単なる障害でしかない」と述べている。

何か行動を起こしたいのなら、「プログラミング自由連盟」に参加するのが最も 簡単な方法である。

LPF とは何か

プログラミング自由連盟 (LPF: League for Programming Freedom) では、 ソフトウェアを書く自由の保護を目的としている。この自由は、 "look-and-feel" インタフェースの著作権訴訟と、ソフトウェア特許によって 脅かされている。LPF はフリー・ソフトウェアや FSF を支持しているのではな い。

連盟のメンバーには、プログラマや社会人、学生、教授、FSF のスタッフ、 数社のソフトウェア会社が登録されている。

連盟への申込用紙からの抜粋を次に示す。

@indent プログラミング自由連盟は、プログラムを書く自由を取り戻すこと に時間を割こうとする教授や学生、社会人、プログラマ、ユーザによる草の根的 な組織である。この連盟は、個々のプログラムを著作権で保護した連邦議会のよ うな合法的な組織に反対しているわけではない。我々の目的は、特に関心のある ものに対して判決が下された最近の変遷に反対することである。

年会費は、プログラマや管理職、教授は 42 ドル、学生は 10.50 ドル、その他 は 21 ドルである。

申込方法は、次の項目に答えた用紙と一緒に小切手を連盟へ送ってほしい。

連盟の住所を次に示す。

League for Programming Freedom
1 Kendall Square - #143
P.O. Box 9171
Cambridge, MA  02139
USA
Phone: (617) 243-4091
Email: league@prep.ai.mit.edu

まだ決意しかねる方は、詳細な情報を LPF へ請求する手紙を書くか、 あるいは Internet メイルにて league@prep.ai.mit.edu へ問い合わせていただきたい。

LPF は Ashton-Tate 社へのボイコットを終結した

Ashton-Tate社 (現在 Borland 社の子会社)は、Fox に関するユーザ・イン タフェース訴訟を打ち切る申請を提出した。従って、プログラミング自由 連盟 (LPF) では Ashton-Tate 社製品のボイコット運動を中止した。

米国政府のデータベース法案

連邦議会に提案された法案 (H.R. 2772) によって、政府印刷局(GPO: Government Printing Office) に政府データベースの広域情報ネットワーク (WINDO) を構築させ、個々のユーザが数多くの政府のデータベースを読むこ とができるようになるといいのだが。それらには、FDA 掲示板や経済掲示板、企 業内容の開示の出願申請の連邦証券取引委員会 (SEC) のEDGARデータベース、 特許庁の自動特許システム、官報、連邦議会の記録、下院の LEGIS システ ム、国会図書館の SCORPIO システム、国務省の刊行物や連邦議会の証言、 その他多くの米国政府の情報システムがある。

GPO は、利用者には普及のための低料金で、ダイヤル方式のモデムやInternet による方法など一番よく使われているアクセス方法でこういったサービスを提供 するだろう。ユーザの反響によってさらに促進されるだろう。法案 H.R. 2772 は、1991 年 6 月に下院議員の Charlie Rose (D-NC) によって紹介された。こ の法案を支援するために、連邦政府議員へ手紙を書くか、あるいは電話をかけて ほしい。また、下院議員の Rose 氏に手紙か電話で、課税対象資産プロジェクト (Taxpayer Assets Project) に氏の支援を示し、その写しを送るように働きかけ てほしい。WIDO に関する詳細な情報は、次の所へ問い合わせることができ る。

American Library Association      Taxpayer Assets Project
Washington Office                 P.O. Box 19367
110 Maryland Avenue, NE           Washington, DC  20036
Washington, DC  20002-5675        電話番号: (202) 387-8030
電話番号: (202) 547-4440               ファクシミリ: (202) 234-5176
ファクシミリ: (202) 547-7363               Bitnet: love@pucc
                                  Internet: 508-0621@mcimail.com

Joint Committee on Printing
818 Hart Senate Bldg.
Washington, DC  20510
電話番号: (202) 224-5241
ファクシミリ: (202) 224-1176

もう一つのフリー・ソフトウェアのサポート・ビジネス

Russ Nelson (Crynwr Software社、nelson@crynwr.com)

Crynwr 社の一連のパケット・ドライバは PC Magazineの1991年優秀技術賞の決 勝にまで残った、copyleft で保護されたソフトウェアである。パケット・ ドライバは、PC の Ethernet ドライバと その他のドライバ・ソフトウェアの埋め草ルーチン(互換性のないルーチン間の インタフェースを取るためのもの) とを合わせたものである。パケット・ドライバはほと んど全ての TCP/IP ソフトウェアでそのまま用いられる。また、Novell 社の NetWare や Banyan 社の Vines、Performance Technology社の PowerLAN と一緒 に用いることもできる。ほぼ 4 年間に、貢献した人々の数は約 2 ページもの リストにおよぶ。私の会社である Crynwr Software社は設立してまだ 6 ヶ月で、 有料のパケット・ドライバ・サポートが私の家族にとって唯一の支えである。 Crynwr Software 社は、copyleft で保護されたソフトウェアのベンチャー・ビ ジネスで成功したもう一つの例である。

『科学の分野では、巨人の肩の上に立って見ていたが、 今度はその巨人と並んで座る特権を与えられている。』


-匿名

GNU カーネル Hurd の特徴

GNU オペレーティング・システムのカーネル作業が続いている。この作業には一 連のサーバのコーディング作業も含み、GNU Hurd と呼ばれている。CMU から配 布されている Mach 3 マイクロカーネルの上位で動作する。Mach マイクロカー ネルは、タスクの抽象化 (1つのタスク内に複数のスレッドを提供する) や強力 な IPC (注: プロセス間通信)、仮想記憶システムを提供している。BSD の高速 ファイル・システム(Fast Filesystem) の実現が順調に進んでおり、夏には必要 最小限のシステムを立ちあげられるだろう、と考えている。

GNU Hurd の特徴の一つに、非特権ユーザが、自分で設計したファイル・システ ムをディレクトリ構造に安全な方法で追加することができる機能がある。この方 法で、いろいろな「ファイル・システム」を実現できるようになるだろう。簡単 な例として、透過的な FTP や透過的な tar アーカイブが考えられる。 ( tar tfv foo.tar のようなおまじないを使わないで、tar アーカイブ がマウントされているディレクトリへcd して ls するような場 合を考えてみよう。) 変なアイデアを考え出す人もいるが、この設計上の選択は、 意外に有益なものとなる。これは Hurd が備えている特徴であり、他のコピー・ フリーな、あるいはそれに近い OS には見られない。商用のシステムでも非常に まれで、あったとしても Unix とはまったく違う。

現時点では、最初のアルファ・テスト・リリースに、ネットワーク・サポートを 組み込むことができるかどうかは確かではない。できない場合は、アルファ・リ リース後にネットワークの実現を最優先項目とする予定である。計画では、(現 在多くのモジュールがフリーになっている) BSD カーネルからネットワーク・モ ジュールを組み込み(dropped in)、最小限の変更で使えるようなライブラリを作 成する。このような仕様の高性能のネットワーク・サーバを実現するにはさらに 多くの作業が必要である。

4.4 BSD や POSIX.1 とのソース・コード・レベルの互換性は、GNU C ライブラ リで提供する予定である。バイナリの互換性については、数機種のマシン用に用 意されているMachのシステム・コール・エミュレーション・メカニズムを採用し て対応する。Unix については、カーネルで実現されている多くの関数も C ライ ブラリで対応する予定である。これにより、厳密に考えて気に入らないシステム・ コールがあれば、容易に差し換えることが可能となる。シグナルの状態を変更す るようなシステム・コールは、ライブラリ・レベルでのみ完全に実現可能で、よ り高速なものとなる。

Hurd の設計について討論するメイリング・リストがある。OS の専門家や経験豊 富な Unix のウィザードを歓迎する。インタフェースの詳細化を手伝ってほしい。

フリー・ソフトウェアを支える第一歩

GNUソフトウェアが有益であることがわかり、特にソース・コードをフリーにする ことで何らかの利点を得たならば、そのことを他の人に伝えてフリー・ソフトウ ェアを広めるようなそんなサポートを希望する。例えば、出版物や内部のプロジ ェクト報告書で次のように述べる。

fubarユーティリティを修正することができたので、我々の固有の要 求が満たされた。それはフリー・ソフトウェアだからこそ成功したので ある。それによって、XYZプロジェクトの作業が予定より半年も早く完了した。」

ユーザや管理者、友達に知らせてほしい。そして、そのコピーを我々のところに 送ってほしい。よろしく!

プロジェクト GNU の進捗報告

Sun 上の標準が GNU になる?

@indent Sun Microsystems は「オープン・システム」のパイオニアと呼ばれる会社の一 つであった。今や新しい方法で業界をリードしている。Unix の OS には C コン パイラをバンドルしないと発表したのは、大きなワークステーション・メーカで は最初である。その他のワークステーション・メーカもこの方法を採用するとの 発表があった。

コンパイラをバンドルしないという Sun の決定は、我々に新しいチャンスをも たらした。GNU C コンパイラが Sun 用の新しい標準のコンパイラになり得る。 Cygnus Support 社は、FSF とその他のフリー・ソフトウェア開発者の協力のも とに、Solaris のプラットホーム上に GNU C コンパイラと関連ソフトウェア (GNU asや gdb、おそらく ld も必要であろう) の移植計画を発表した。

Cygnus は 150 件の配布先を募集している。1 件につき 2,000 ドル(Sun の CPU 3 個に対するコンパイラのライセンス料とほぼ同じ) の寄付を呼びかけ、必要 な作業の基金とする。(応募した人は商業ベースのサポートを一年間受けられる。) 結果としてこれが完成すれば、他の GNU システムと同様にフリー・ソフトウェ アとなる。また、FSF への寄付金も 75,000 ドルに増える。

これは、配布のメリットを示し、ユーザに基金を募り、ソフトウェア開発を行な う最初の試みである。詳細な情報は、Cygnus Support 社 (電話番号: (415)322-3811、電子メイル: solaris-compiler@cygnus.com へ問い合 わせていただきたい。

Andrew ツールキットはフリーのままである

Andrew ツールキットは拡張性に富んだオブジェクト指向のツールキットで、 グラフィック・ユーザ・インタフェースとアプリケーションのパッケージから構 成される。このツールキットを広範囲に使っているアプ リケーションとして、Andrew Message System (AMS) がある。 FSF はこのツールキットを「オプション」 の X ウィンドウ・テープに 入れて配布している。

最近、フリーなツールキットの存在について数人から質問された。これがそれに 相当するだろう。Andrew ツールキット・コンソシアムでは、ツールキットや AMS を自由に使うことができ、再配布可能なものにし続ける予定である。しかし 少し引っかかる(引っかかっている)。コンソシアムの会員のほうが早期に、かつ 頻繁に最新バージョンを入手しているからである。このような方法で、コンソシ アムの会員に引き続き会員になるよう奨励している。

日本における GNU

引地美恵子 (h-mieko@sra.co.jp) と引地信之 (hikichi@sra.co.jp) は、日本で GNU プロジェクトに関する作業を続 けている。彼らは、GNU 情報の翻訳、コラムの執筆、寄付の呼びかけ、そして GNU について人々の相談にも答えている。GNU 一般公有使用許諾書、バージョン 1 の日本語版は完成している。

日本語化された Emacs と Epoch の各種バージョンが (注:日本から) 現在、 入手可能である。nemacs (Nihongo Emacs) と nepoch (Nihongo Epoch) のいずれもが、日本では広く使われている。

Emacs の一種である Mule (MULtilingual Enhancement of GNU Emacs) は、一度 に多くの文字コードを扱うことができる。Mule で提供される機能は、最後には FSF バージョンの Emacs に組み込まれる予定である。半田剣一 (handa@etl.go.jp) が MULE のベータ・テストを行なっており、 sh.wide.ad.jp:/JAPAN/muleetlport.etl.go.jp:/pub/mule からソース・ファイルを FTP するこ とができる。

なるべく GNU ソフトウェアの注文は直接 FSF へ発注してほしい。150 本の テープの注文で 1 人のプログラマを 1 年間雇うことができ、結果としてより多 くのフリー・ソフトウェアが作成されるからである。他に、日本の多くのグルー プが GNU ソフトウェアを配布している。それには、JUG (PC ユーザ・グループ)、 日経 BP 社やアスキー (出版社)、富士通の FM Towns ユーザ・グループなどが ある。anonymous UUCP による配布も日本で行なわれており、その UUCP につい ての詳細は toku@dit.co.jp へ問い合わせのこと。FSF では nemacsnepoch も配布していない。

(株)ビレッジ・センターでは、GNU Emacs Lisp Reference Manual の 日本語訳を印刷し、さらに Texinfo 形式のソース・ファイルを各種の電子 掲示板にアップロードしている。彼らはマニュアルの配布によって得られた 利益の一部を FSF に寄付してくれている。彼らの住所を示す。〒101 東京都 千代田区三崎町 3-1-16 (アメレックス・ビル 2 階)

日本の商用パーソナル・コンピュータ・ネットワークで通信するグループでは、 MIPS アーキテクチャの CPU を使い、copyleft で保護したハードウェア設計図 (回路図) と関連ソフトウェアを作成、配布している。t2 と呼ばれる OS で、GCC と GDB をシステムのコンパイラやデバッガとして採用している Unix のサブセットである。


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