1992 年 1 月 18 日発行、第 1 版
日本語版作成者: 引地美恵子、引地信之
電子メイル・アドレス: h-mieko@sra.co.jp、hikichi@sra.co.jp
連絡先住所: 〒102 東京都千代田区平河町 1-1-1
株式会社 SRA
(03)3234-2611 (大代)
イラスト: Etienne Suvasa
GNUダイジェストの定期購読を希望する方は、ボランティア作業のため 175 円切 手 x n 回 (総額相当の切手ではなく、複数枚の 175 円切手にて) を本文連絡先 の引地美恵子まで送ってほしい。原則として電話だけの郵送希望には応じかねる。 予めご了承頂きたい。
Copyright (C) 1992 Mieko Hikichi and Nobuyuki Hikichi.
原作者の意を伝えるべく英語原文の解釈に十分注意を払ったが、なお不明な点に ついては英語原文 (GNU's Bulletin vol. 1 no. 12) を参照されたい。なお、日 本のGNUユーザの事情に即した内容を加筆したため、必ずしも対訳ではない部分 があることを予めお断りしておく。
本小冊子(GNUダイジェスト)の複写および配布条件は英語原文のそれに従う。た だし、本小冊子に転載記事が含まれた場合のそれの複写および配布条件は、受領、 配布された写しに本小冊子で記載された通りの転載記事の出典が前もって載せら れている場合に限り、その転載記事をそのまま複写し配布することを許可する。
なお、本小冊子(GNUダイジェスト)は、Texinfo の日本語版 jtexinfo (アスキー版 日本語 TeX と NTT 版 JTeX に対応)、アスキー版日本語 TeX、 ソニー NEWS レーザ・プリンタで作成・出力した。
Michael Bushnell は GNU オペレーティング・システムに関する作業を
行ない、GNU tar を保守している。Jim Blandy は GNU Emacs
バージョン 19 のリリースを準備し、 Joseph Arceneaux は今後の GNU
Emacs のリリースに有用な作業を行なっている。Roland McGrath は
C ライブラリの仕上げと GNU make を保守している。
Tom Lord はグラフィック・ライブラリを作成しており、Oleo という GNU
版のスプレッドシートの開発を引き継いでいる。Brian Fox は、
makeinfo、info、bash、GNU finger、
readline ライブラリやなど、自分が作成した各種プログラムを保守して
いる。Jan Brittenson は、C インタプリタに関する作業を行なっている。
David J. MacKenzie は、GNU の小さなユーティリティ (単独のプログ
ラムで、組み合わせて用いられない) のほとんどを保守している。
Melissa Weisshaus はドキュメントの編集を担当し、 GNU Utilities Manual に関する作業を行なう予定である。 Kathy Hargreaves と Karl Berry は Ghostscript に関する作業を 行なっており、フォントの作成やフォントを扱うための各種ユーティリティ を作成している。
Noah S. Friedman は GNU のシステム管理者である。Lisa `Opus' Goldstein は、Gena Lynne Bean と共に我々のオフィスで奮闘してい る。Spike MacPhee は ソフトウェアの法律面やその他の管理業務面から RMS に助力している。Robert J. Chassell は FSF の経理担当 で、我々の出版を手掛けその他の多くの作業をかかえており、Emacs Lisp を 使ったプログラミングのための入門書を書いている。
Richard Stallman は、Cコンパイラや GNU Emacs、等の改良やそれぞれのド キュメンテ−ションなど、実に多くの仕事をボランティアとして行なっている。 最後に、メイリング・リストや gnUSENET、情報のまとめなど、電子的 JOAT (jack-of-all-trades 何でも屋) をしているボランティアは Len Tower である。
Free Software Foundation (以下、FSF と称す) は、コンピュータ・プログラム の複写や再配布の制限、理解と修正の制限をなくすことを目的に捧げている。こ れを行なうために、我々は、あらゆる分野のコンピュータ利用において、フリー・ ソフトウェアの開発と利用を促進している。特に、Unix と上位互換性のある 「GNU」 (GNU's Not Unix: GNU は Unix ではない) という名の完全な統合化ソ フトウェア・システムを構成している。このシステムの主な部分は既に動いてお り、現在それらを配布している。
我々の名前にある「free」という言葉は、「自由 (freedom)」に属しているもの で、無料を意味する「free」ではない。GNU ソフトウェアの入手にあたって、 お金を支払ってもよいし、支払わなくてもよい。いずれにせよ、GNU ソフトウェ アを入手すれば 2 つの特別な「自由」を得る。1 つは、友達や一緒に仕事をし ている人にプログラムを複写する自由と、分け与える自由を与えることである。 もう 1 つは、ソース・コードを公開することによって、人々が思うようにプログラ ムを変えられる自由である。さらに、ソース・コードを研究したり、プログラム がどのように書かれているかを学習することができる。これでプログラムの移植、 改良が可能となり、変更点を他の人々と共有することも可能になる。(GNU ソフトウェアを再配布する場合は、複製をとるための実費を請求することができ るし、あるいは無報酬で配布してもよい。)
たまたま役に立つフリー・ソフトウェアを配布している組織が他にもある。FSF との違いは、FSFでは新しいフリー・ソフトウェアの開発に集中し、独占システ ムを買う必要性を完全になくしている点が特徴である。
GNU を開発する傍ら、FSFは GNU ソフトウェアのテープやマニュアルの作成と配 布を配布手数料のみで行なっている。またGNU 開発の援助のために免税物資を受 け入れている。FSF の資金源のほとんどがこのような配布サービスで支えられて いる。
Free Software Foundation の役員 社長: Richard Stallman 監査役: Robert J. Chassell 取締役: Gerald J. Sussman、 Harold Abelson、Leonard H. Tower Jr.
プログラムを自由に配布する最も簡単な方法は、プログラムをパブリック・ドメ インに置き、著作権を放棄することである。しかし、この方法では、誰かが著作 権を主張し、利用に制限が課せられしまい、著者の意図に反してしまう。これで は、他の人々のアクセスする権利や自由な再配布を否定することになる。
このような事態を避けるために、我々は GNU ソフトウェアの著作権を斬新な方法 で主張している。典型的なソフトウェア会社はこれらの自由を束縛した著作権 (copyright) を使っている。そこで我々は、前述の自由を守るために copyleft を使っている。copyleft は合法手段である。これは、諸権利と共に複 製物を得た人がさらにその複製物に諸権利を含めて再配布するのであれば、その ソース・コードを読み、改良することができるというものである。ソース・コー ドと諸権利は法律的に切り離すことはできない。
GNUプロジェクトで使うcopyleftは、著作権告知とGNU一般公有使用許諾書 (GPL: GNU General Public License) を兼ね備えている。GPL とは、前述の自由 について基本的に述べた複写のライセンスである。また、GNU ライブラリ一般公 有使用許諾書 (LGPL: GNU Library General Public License) も用意され、 GNU のライブラリを含むものに適用される。このライセンスは、GNU のライブラ リを特定の条件下で、所有者の実行形式にリンクさせることを許可するものであ る。完全な使用許諾書の写しは、配布される全ての GNU ソース・コードや我々 が発行するマニュアルの多くに入っているが、ご希望の方には FSF からその印 刷物を郵送する。
ただし、ライブラリ・ライセンスは、実際には戦略上の後退である。GNU ソフト ウェアを基にしたプログラムはそれ自体がフリーでならなければならないと言っ ているのと同じ意味のライセンスであるということを強調したい。しか し、ライブラリの場合は、フリー・ソフトウェアにおいてのみ用いられるという ことを強調すると、フリーなアプリケーションを奨励するどころか、むしろライ ブラリの使用を踏みとどまらせるということがわかった。
もし、ライブラリ・ライセンスによって、独占的なアプリケーションの開発者が フリーなライブラリの一層の使用と開発を促進するのであれば、GNU プロジェクトのライブラリをこのライセンスで保護する予定である。
我々は、あなたのプログラムやドキュメントを copyleft で保護するように強く 勧めており、誰にでもそれらを保護することができるように手続きを簡単にした。 プログラムのソース・ファイルの中に「GPL が適用されているので、詳細はそれ を参照するように」と記述するだけでよい。
Free Software Foundation はいかなる技術サポートをも提供していない。ソフ トウェアは作成しているが、本来の作業に集中した方がよいので、サポートを提 供して生計を立てているその他の人々のために残してある。医者や弁護士が今日 行なっているのと同様にプログラマも、サービスを提供する職業だと考える。医 者や弁護士の医学的な知識や法律の知識はそれ自体フリーに再配布できるもので、 開業医や弁護士はその配布とサービスに対して課金している。
我々は、サポートやその他のコンサルタント・サービスを提供する人々のリスト を管理している。これを GNU サービス名簿 (GNU Service Directory) と呼ぶ。 このリストは GNU Emacs 配布テープの中のファイル `etc/SERVICE' や GCC 配布テープの中の `SERVICE' に入っている。このディレクトリの写し を入手したい人、あるいはリストに載せてほしい人は我々に連絡 してほしい。
GNU ソフトウェアに欠陥を発見したら知らせてほしい。我々は、アナウンス用と
バグ報告や質疑応答用に用意された多くの Internet メイリング・リストを持っ
ている。これらのメイリング・リストは、ニュース・グループ gnu.*
として USENET ニュースのゲートウェイを経由する。
Internet にアクセスできない場合は、電子メイルや UUCP に接続されている USENET ニュースで情報を入手することができる。ローカルな UUCP サイトや商 用 UUCP サイトについての問い合わせ先を次に示す。
Anterior Technology P.O. Box 1206 Menlo Park, CA 94026-1206 USA 電話番号: (415) 328-5615 or FAX: (415) 322-1753 電子メイル:info@fernwood.mpk.ca.usUUNET Communications Services 3110 Fairview Park Drive - Suite 570 Falls Church, VA 22042 電話番号: (703) 876-5050 電子メイル:info@ftp.uu.net
我々がバグ報告を受け取ると、ソフトウェアをより良くするために、たいていは 問題を解決しようと努力する。我々のバグ修正は、個々に対応しているように見 えるかも知れないが、実際にはそうではない。我々の仕事量はあまりに多過ぎる ので、ソフトウェアやドキュメンテーションの開発や保守のように、全体として 共同体を援助することに焦点を絞らなければならない。個々の対応のために、我々 の本来の作業を棚上げさせてはならないのである。バグ報告に対して、我々が解 決していない場合は、バグ報告用のメイリング・リストを読んでいるその他の多 くのユーザから、回答を得られるかもしれない。さもなければ、サービス名簿を 利用してほしい。
従って、インストール・スクリプトがどのように動かないのか、マニュアルのど の部分が不明確なのか、といったことを我々に知らせてほしいのであって、ソフ トウェアのインストール方法や使い方を我々に尋ねないでほしい。
info-gnu-fortran-request@prep.ai.mit.edu にメイルをすればよい。
一方、このフロントエンド自体の作成は、急速にアルファ・テストに向けて作
業が進んでいる。
GNUソフトウェアが有益であることがわかり、特にソース・コードをフリーにする ことで何らかの利点を得たならば、そのことを他の人に伝えてフリー・ソフトウ ェアを広めるようなそんなサポートを希望する。例えば、出版物や内部のプロジ ェクト報告書で次のように述べる。
「
fubarユーティリティを修正することができたので、我々の固有の要 求が満たされた。それはフリー・ソフトウェアだからこそ成功したので ある。それによって、XYZプロジェクトの作業が予定より半年も早く完了した。」
ユーザや管理者、友達に知らせてほしい。そして、そのコピーを我々のところに 送ってほしい。よろしく!
@CHAPPAGoff
@CHAPPAGon
Richard Stallman
去年の春にAT&Tは、MITを含むXコンソシアムのメンバーに手紙を出して脅威を与 えている。それによると、「Xウィンドウの使用料を支払う必要がある」と。取得 したマルチウィンドウ・システムの「バッキング・ストア」がAT&Tの特許 (米国 特許番号 4,555,775) になったためである。Xコンソシアムでは一連の展開を 「大学の研究への脅威」と称している。MITは、必要に応じて裁判所で争う方法を 検討しているが、これが成功するかどうかは我々にはわからない。
一方、Cadtrakは、画面上で描く際にXウィンドウで排他的理論和を使っているユ ーザに使用料を支払うよう、引続き要求している。これは、米国特許番号 4,197,590 である。
Xウィンドウを採用することができれば、GNUシステムは非常に有益なものになる だろう。危険で基本的なシステムの機能はこれに限ったことではない。 IBMのテ キスト・エディタ中の「カット&ペースト」に関する特許 (米国特許番号 4, 674,040) は Emacs に脅威を与えている。Emacs のいくつかの拡張部分も、「同 一画面上でテキスト処理と数値処理を行なう」特許 (米国特許番号 4,458,311) で脅かされている。米国特許番号 4,398,249 の「自然な順番での再計算」は、汎 用のスプレッドシートの技術を網羅しているので GNUソフトウェアでの採用が危 ぶまれる。
9月にFSFは、去年の春に Ross Williams が開発したアルゴリズムを使ったデー タ圧縮プログラムをリリースする予定であったが、新しい特許が認められ、彼の アルゴリズムが包括されていた。結局、我々はそのプログラムを放棄しなければ ならなかった。代わりに何を使うかはまだわからない。
これらの脅威に対して FSF でできることはほとんどない。たった 1 つの特許で さえも、裁判で争えばすべての基金を使い果たしてしまうだろう。そこで、バー ジョン 2 の GPL (注: GNU一般公有使用許諾書) では条項を 1 つ追加した。我々 のプログラムのうちの 1 つが特許の範疇に入る場合は、その国での配布を禁止 することができる。おそらく対象となる国に、米国が入るだろう。
広く使われるためのソフトウェアを開発する場合、そしてたぶん読者にも心当た りがあるだろうが、ソフトウェアに適用される数千という多くの特許を侵害しな いで作業することは不可能だということに気付くだろう。この小冊子の読者がプ ログラミング自由連盟 (LPF: League for Programming Freedom) に加入するこ とこそ道理ではなかろうか?
Richard Stallman
GNU プロジェクトでは、既存のシステムの中で最良のコンパイラの 1 つを作成 した。新しく、しかも完全な言語の設計に優先して C コンパイラを先に作 成することにした。ユーザのプログラミング言語として使われるのは C 言語だ からである。Unix に似たシステムでは、C コンパイラが本当に重要である。
使いやすいコンピュータで、新しい言語が同様に重要になれば、そのコンパイラ を作成することは許されるだろうか? ヨーロッパでそのコンパイラを使おうとす ると、その答えは「ノー」である。5 月 15 日にヨーロッパ共同体はソフト ウェアの著作権について新しい通達を出した。ユーザ・インタフェースを著作 権で保護するだけではなく、プロトコルやデータのフォーマット、プログラミン グ言語も著作権の対象にしようというものである。
ヨーロッパ共同体の法律がインタフェースについてどのように述べられているか を次に示す。
「明確にするために次の点を述べる必要がある。コンピュータ・プ ログラムの表現のみを保護し、(インタフェースの根底をなすものを含めて、 プログラムのどのような要素もその基礎をなす) アイデアや原理は、通達に よれば著作権で保護されない。」
つまり、根底にあるアイデアは著作権で保護することはできないが、 インタフェースの詳細は著作権で保護してもかまわない。
Legal Affairs Committee of the European Parliament は、ここで言うとこ ろのインタフェースの問題をはっきりさせるために、次の言葉を追加す るように勧告した。
「次のようなものは保護することはできない。例えば、通信プロトコルややりとり した情報の相互使用のための規則、データのフォーマット、プログラミング言語 の構文とその意味、である。」
保守党のグループが徹底して反対し、激しい議論の末、この追加文は否決された。 提示された問題の重要点は、それが本質的な変更とみなされていることを示 している。つまり、議会はこの法律がプロトコルやフォーマット、言語を著作権 で保護することができるとみなし、示唆している点である。
広範囲に及ぶ危険で独占的な主要支持者は 2 ~ 3 の大手コンピュータ会社であ る。IBM や DEC、アップル、シーメンス (この中の 1 つはヨーロッパの会社) で ある。多くの小さな会社がこのインタフェースの独占への反対運動をするため に、 European Committee for Interoperable Systems を組織した。しかし、ほ とんど成功していない。
米国ではどうか?
最新バージョンの System V のインタフェース定義書では、インタフェースが著 作権で保護されている、と主張している。Adobe 社は、「PostScript は著作権 で保護されている」と言っている。IBM や DEC、アップルが議会に大きな声ではっ きりと「プログラミング言語は著作権で保護されるべきである」と本当に言って いる。そして、彼らは有効な政策である根拠として、ヨーロッパの法律を引合いに 出すだろう。
そこで、新しい言語を採用する場合、GNU コンパイラとして追加することができ るだろうか? ヨーロッパでは「ノー」である。おそらく米国でも「ノー」であ る。そして、プログラム作成する時、既存のどれとも互換性のないものを作るよ うに強制されたいのか? そうすれば告訴されなくて済むからなのか。
ほとんどのプログラマがこの制限に不満を示しているので、大方の読者も同 様であろう。問題点は、この件に関して何をしたいかである。遠慮なく話せば決 定に影響を与えることもできるし、あるいは何もしないで、IBM や DEC、アップ ルの言うままに行なわせることも可能なのである。
何か行動を起こしたいのなら、プログラミング自由連盟 (League for Programming Freedom) に参加するのが最も簡単な方法である。これは草の根的 な組織で、プログラムを作成する自由を掲げて活動を政治的に行なっている。
プログラミング自由連盟の申し込み用紙より:
「プログラミング自由連盟は草の根的な組織で、プログラムを書く自由を取り戻す ことを掲げている。教授や学生、社会人、プログラマ、ユーザから構成される。 連盟は、個々のプログラムを実際に著作権で保護した合法的なシステムに反対し ているわけではない。特に関心のあるものに対して判決が下された最近の変遷に 反対するのが狙いである。」
会費は、プログラマや管理者、教授の場合、年間 42 ドル、学生は 10.50 ドル、 その他は 21 ドルである。
参加の場合は、次の所へ小切手と以下の項目に答えた用紙を送ってほしい。
League for Programming Freedom 1 Kendall Square #143 P.O. Box 9171 Cambridge, MA 02139 USA
まだ決意しかねる場合は (617)243-4091 に電話を、詳細は前述の住所の連盟
宛てに手紙で問い合わせるか、あるいは Internet 経由で
league@prep.ai.mit.edu に電子メイルを出していただきたい。
@CHAPPAGoff @unnumbered{LPFはAshton-Tateへのボイコットを終結した} @CHAPPAGon
Ashton-Tate (現在 Borland の子会社) は、Fox に関するユーザ・インタフェー ス訴訟を打ち切ることを申し出た。従って、プログラミング自由連盟 (LPF) は Ahton-Tate 製品のボイコット運動をとり止めた。
@unnumbered{ジョン・フォン・ノイマンが特許に反対していた}
--プログラミング自由同盟のために載せている
"John von Neumann and the Origins of Modern Computing" (William Asprey著, MIT Press, 1990, pp. 41-45) という文献に、1946 年から 1947 年に かけての特許論争についての記述が載っている。フォン・ノイマンは EDVAC に ついて Eckert と Mauchly との間で争われた。フォン・ノイマンは EDVAC プロ ジェクトのコンサルタントであった。そこで多くの基本的な発明を行ない、貢献し た。1946 年に Eckert と Mauchly は EDVAC の多くの技術を特許申請した。そ の中にはフォン・ノイマンが自分で発明したものだと、クレームをつけたものも 含まれている。
フォン・ノイマンが 1945 年に書いた EDVAC の報告書の原稿を、(特許として発 案したことにしないで) 以前の出版したときの状態のままにしておいた時に、この 論争は終った。従って、問題となっていたすべての発明は、周知の事実(パブリッ ク・ドメイン) の一部になった。
この論争から得られた 1 つの結論は、先端技術研究所 (Institute for Advanced Studies)での自分のコンピュータ・プロジェクトのためにフォン・ノ イマンが特許の考え方を変えた、という点である。当初は、個々の技術者に割り 当てられた特許である、という考えであった。しかし、そうしないで、すべての アイデアをパブリック・ドメインにしたのである。
フォン・ノイマンは次のように語った。「もちろん、これは立場が変わったこと を意味するが、排他的な特許にほとんど関心がないので、この変更は自分達には 非常に都合の良いものになる。しかし、そうするよりも、あるテーマへの貢献の 全てを、できるだけ一般的で公共的なものにして、アクセスできるようにしてお きたかったのである。」
Lester Ingber, Science Transfer Corporation, ingber@umiacs.umd.edu
おそらくほとんどの人々は、Emacs や GCC、G++、GDB、Groff、Gnuplot
などの GNU の成果物やその一部 (GCC の利点を使用するために) を基にしたソ
フトウェアの成果物、BASH、Oleo、Perl などを、次のような必要性から使ってい
る。(a) ソフトウェアをいじったり、調査するため、(b) 「商用ソフトウェア」
と比較しても優秀なソフトウェアの利点から、(c) 高価ではないソフトウェアを
使うために、である。十中八九、GNU ソフトウェア開発プロジェクトの受益者は、
中規模から大規模な研究機関や企業のコンピュータ関係の研究者かハッカーであ
る。一般に、(a) や (b) の利点に結びついている。(c) の経費の要因はそれほ
ど大きくない。
(c) の経費を低く押さえるという必要性は、(b) の現在の優秀な技術水準のソフ トウェアにおいても要求されることだが、多くの小規模の科学プロジェクトには きわめて重大である。項目 (a) を満たすようなソフトウェアには、たいてい多 くのバグがあって、それをいじったり取っ組み合うよりは、私を含む多くの人々 がより多くの時間を自分の「研究」に費やしたいと思う。しかし、それでも (b) や (c) の点から、GNU ソフトウェアの方を好んでいる。予算が赤字の時に、よ り巨大な、より費用のかかるプロジェクトへの政治的な要請がある場合は、なお さらである。今、直面している厳しい競争を我々の国が切り抜けるために、良質の 科学 (洗練されたあらゆる人々にとっても基本的な目標) を簡単な方法で推進 しなければならない。同様に、「小さな」科学を守るための方法を見つけなけれ ばならない。そのような意識を広めなければならない。
最近、自分のプロジェクトを維持するために、他に選択肢があるわけではないが、
自分のコンピュータの購入に財布の紐を緩めなければならない。多くの汎用計算
機やワークステーションを使っているが、たいていはコンピュータのエンドユー
ザとしての利用である。従って、コンピュータは専門家の手に委ねられている。
Sun SparcStation を選んだ。その理由は (1) 自分のソース・コードを扱うのに
十分強力で、(2) 非常に多くのソフトウェアが配布されているように思える、た
めである。自分のプロジェクトで、(2) がどれほど重要なことなのかをほとんど
理解していなかった。自分の Sun はすぐに何でもこなすのに、数千行の
troff コード・ファイルをレーザ出力することさえできなかった。シス
テムに付属している C コンパイラは非常に遅かった!
そういう時に GNU プロジェクトを発見し、コンピュータのシステム管理者にな るべく数ヶ月の取っ組み合いの末、自分の科学ツールを自由に使いこなせるよう なソフトウェア・システムが自分の手元にある。 例えば、私の論文、 "Statistical mechanics of neocortical interactions: A scaling paradigm applied to electroencephalography,"(Phys. Rev. A, 44:4017-4060, 1991) では、私の脳の理論的なモデルが、どのように頭皮から計測され、 EEG (electroencephalographic: 電子脳髄画像) データへ適用する場合にどのよ うに使用されるかを実証している。この理論を適用した厳密なテストが他にも いくつかある。最後のテストとそれの出版には、本当に GNU ソフトウェアが必要で あった。適正な市販価格でさえ経済的に支払う余裕がなかったのである。
Richard Stallman や GNU プロジェクトのその他の人々に感謝する。世界中のコ ンピュータ研究者に、最高技術水準のソフトウェアを寄与しているだけではなく、 小さな科学を促進させる非常に重要な役目を演じている。
@CHAPPAGoff
@CHAPPAGon
GNU は、単に小さな科学上のプロジェクトとしてフリー・ソフトウェアの利点を 得ているわけではない。JET プロジェクトの Colin Manning はこのように述べ ている。
「参考までに、JET は発電用の核融合技術を開発する世界最先端の研究プロ ジェクトである。そこでは言うまでもなく膨大な数のコンピュータがあり、GNU ソフトウェアが活用され、その真価が認められている。GNU Emacs においてはほ ぼ一般に使われている。GCC/BASH/GAWK やその他のソフトウェアも同様である。 我々は (今のところ) Sparc を基に作業を行なっている。」
"いろいろな発明から非常に多くの利点を享受しているのだから、 自分のどんな発明でも他人に分け与えことを喜びとするべきである。"
-Benjamin Franklin
stdio を直接使えば、頻度の高
い I/O が集中するプログラムのデータのコピーを省くことができる。GNU C ラ
イブラリでは将来そのようなサポートを用意する。
最終的には別のファイル・システムを実現しようと考えている。従来の NFS
やこれまでにない FTP や tar、ar といったアーカイブにも
透過的にアクセスすることができる機能をも含む。
Hurd 端末ドライバは、ユーザ・プログラム側からはファイル・サーバのように
見えるが、BSD や POSIX の端末機能と同じ ioctl 関数に加えて、各種の機能を
サポートする。端末ドライバは、シリアル回線やネットワークのポート、他のチャ
ンネル上の端末をサポートする予定である。
プロセス・サーバはプロセスの抽象化を提供する。プロセスとホスト id、他の
プロセスへのシグナルの送付、ps のようなプログラムの情報取得の機能を含む。
サーバの主な目的は情報リポジトリ機能である。システム・コールのインタープ
リタはシグナルの複雑な見地から扱う。
Hurd のアルファ・テストが開始されれば、本格的にネットワーク部分の作成を
開始する予定である。BSD のカーネル (大部分はコピー・フリーになった) のネッ
トワーク・モジュールを基に、最小限の修正を施したものを採り入れて使
えるようなライブラリを作成する計画である。
BSD とのソース・コードの互換性は GNU C ライブラリで提供する。さらに、
Mach のシステム・コール・エミュレーション・ライブラリを用いて、いくつか
のマシンでバイナリの互換性を提供する予定である。
GNU C ライブラリと組み合わせて使う場合は、4.4 BSD や POSIX.1 に準拠し、
ソース・コードやバイナリとの互換性を持たせる予定である。Hurd について討
論するメイリング・リストがある。OS のエキスパートや鍛え上げられた Unix
のウィザードを歓迎する。インタフェースの詳細化を手伝ってほしい。
a.out や COFF 形式のオブジェクト・ファイルをサポートする。
GCC バージョン 2 のベータ・テストを開始している (「体験テープの内容」を
参照)。 数種類の新しいフロントエンドを作成しているが、まだ GCC の一部で
はない。Ada 標準委員会で、Ada のフロントエンドヘの基金を集めている。これ
は非常に複雑な言語なので、作成には多くの時間が費やされるだろうとみている。
Fortran のフロントエンドを現在統合しているが、これもすぐにはリリースでき
ないだろう。ボランティアが Modula 3 と Pascal のフロントエンドの作成を開
発している。その他の言語でも作成しているという話は聞いているが、Cobol の
フロントエンドを作成しようというボランティアは現われていない。
bothner@cygnus.com) がこのリリースを担当している。
malloc の高速なバージョンを作成した。GNU 正規表現関数
(regex) は POSIX.2 の規格をほとんど満たしている。(「システム・コー
ル」を含む) ライブラリのマニュアルはほとんどでき上がっている。
C ライブラリは、Hurd の Unix システム・コールの大部分の作業を担当するこ
とになるだろう。Roland はそのサポート・コードを追加している。
++ 言語
をサポートしており、GNU C コンパイラと共に配布される。
GDB バージョン 4.3 はベータ・テスト版である。AMD 29000 やインテル 960 を
含むいくつかの新しいマシンに移植されている。「バイナリ・ファイル記述」に
従って、オブジェクト・ファイルとシンボル・テーブルを読み込む。そのために、
GDB が 1 つあれば、複数のオブジェクト・ファイル形式 (例えば a.out
や COFF) のオブジェクトをデバッグすることが可能となっている。
その他の新しい特徴として、コマンド言語がある。ウオッチ・ポイント (式の値
が変更されたらブレークする) や割り込み処理 (GCC バージョン 2 で採用され
る)、SunOS の共有ライブラリ、C++ の多重継承がある。
graph
や xplot、plot2ps の新しい機能、ln03 や TekniCAD
TDA ファイル形式のサポート、spline プログラムの差し替え、
graph や plot を用いたシェル・スクリプトの *例*、統計ツー
ルキットの追加、インストールのための configure の利用である。
既存の移植に関して再テストが必要である。
SparcStation 以外の移植やテストを手伝うことができる人は Rich Murphey ま
で連絡してほしい。
groff (GNU troff とその関連プログラム) を完
成させた。現在、バー
ジョン 1.04 が配布可能である (「ユーティリティ・テープの内容」を参照)。
この新しいリリースには -mm マクロが入っている。これは Joergen
Haegg (jh@efd.lth.se) の寄付によるものである。groff は
C++ で記述されており、GNU C++ (バージョン1.40.3 以降が望ま
しい) でコンパイルすることができる。
これから発見されるバグは修正するが、新しい開発は現在予定していない。しか
し、groff ユーザには拡張したコードを寄与するように奨励している。
最も必要なものは、ドキュメントの完成、grap エミュレーション (グラ
フ用の組版 pic プリプロセッサ)、pm のようなページ記述ポス
トプロセッサ (Computing Systems 2:2 を参照)、pic 用の出力
クラスである。これを用意すれば pic を texinfo に統合するこ
とが可能となる。
James から、この場を借りて、バグ報告を提出してくれた全ての人々に感謝する。
引続きバグ報告は、bug-groff@prep.ai.mit.eduへ宛ててほしい。
altdorf.ai.mit.edu マシンから anonymous
ftp で配布可能である。ファイル名は、
`archive/scm' ディレクトリの
`jacal0-4.tar.Z' と `scm3c6.tar.Z' である。
FSF はまだこれをテープで配布していない。IBM PC 用のフロッピー・ディスク
を希望する場合は、Aubrey Jaffer、84 Pleasant St.、Wakefield MA 01880、
USA 宛てに 70 ドル送ればよい。(注: もちろん、これは米国内対象の料金である。)
引地美恵子 (h-mieko@sra.co.jp) と引地信之
(hikichi@sra.co.jp) は、日本で GNU プロジェクトに関する作業を続
けている。彼らは、GNU 情報の翻訳、コラムの執筆、寄付の呼びかけ、そして
GNU について人々の相談にも答えている。GNU 一般公有使用許諾書、バージョン
1 の日本語版は完成している。現在、GNU ライブラリ一般公有使用許諾書の日本
語訳をレビューしてくれるボランティアの弁護士を探している。
日本語化された Emacs の各種バージョンが (注: 日本から) 入手可能である。
nemacs (Nihongo Emacs) は日本では広く使われており、i386 搭載の
MS-DOS マシンなど多くのシステムで動作する。Epoch の日本語版
nepoch も入手可能である。
なるべく GNU ソフトウェアの注文は直接 FSF へ発注してほしい。150 本のテー
プの注文で 1 人のプログラマを 1 年間雇うことができ、多くのフリー・ソフト
ウェアを作成することができる。その他、日本の多くのグループが GNU ソフト
ウェアを配布している。それには、JUG (PC ユーザ・グループ)、日経 BP 社や
アスキー (出版社)、富士通の FM Towns ユーザ・グループなどがある。
anonymous UUCP による配布も日本で行なわれており、その UUCP についての詳
細は toku@dit.co.jp へ問い合わせのこと。FSF では nemacs
も nepoch も配布していない。
日本の商用パーソナル・コンピュータ・ネットワークで通信するグループでは、
MIPS アーキテクチャの CPU を使ったハードウェアと関連ソフトウェアを作成、
配布している。t2 と呼ばれる OS で、Unix のサブセットである。
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