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Time-ART:実験ビデオ分析作業の初期段階を支援する

空間配置を利用したインタラクティブシステム
 
 

山本 恭裕1,2 , 青木 淳3,中小路 久美代1,2,3

yasuhi-y@is.aist-nara.ac.jp, aoki@sra.co.jp, kumiyo@is.aist-nara.ac.jp


1 奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科
2 科学技術振興事業団若手研究者推進事業
 「協調と制御」領域
3 株式会社SRA 先端技術研究所

 

1.実験ビデオ分析作業

ユーザビリティテストや実験的ソフトウェア工学,ユーザの要求分析作業などといった観察作業においては,データ収集のためにビデオやサウンドなどのマルチメディアが多く用いられる.例えばユーザビリティテストにおいては,いくつものビデオカメラを用いて,ユーザの発話や行動,ユーザの見ている画面や観察者の見ている画面などを,同時並行的に記録することができる.ビデオデータのみならず,発話だけを記録するオーディオデータや,三次元モーションキャプチャデータ,視線計測データといった,その他のマルチメディアデータを生成,収集することも可能である.

分析者は,これら複数のマルチメディアデータを閲覧しながら分析作業を進めることになる.このような分析作業の多く,特に分析作業の初期段階においては,統計的解析処理よりもむしろ,探索的(exploratory)に問題点をみつけそれを検証するといった試行錯誤の繰り返しとなる[3] .様々なビデオやサウンドといったマルチメディアデータを,一つずつ,また時には同時再生しながら,興味ある部分を切り出し,その部分にどういう意味があるのか,またその部分に対応する他のメディアのデータはどのようになっているのかを同期的に再生し調べたり,切り出した部分を漸次的に分類,整理しながらコーディングスキーマを構築したりする.

昨今マルチメディアデータをより容易に計算機上で取り扱うことができるようになった.しかし,既存のビデオデータを取り扱うソフトウェアツールの多くは,上述のような探索的分析作業に対して適しているとはいえない.例えば Li et al.[2] などに見られるビデオ理解支援ツールの多くは,ビデオの内容をより速くより正確に理解するための要約を主とする機能を提供して

おり,内容から意味そのものの構築が必要とされるビデオ分析タスクとは目的を異とする.ビデオ編集ツールでは,ビデオの「興味のある部分」をクリップ(切り取る)して集めることはできるが,編集ツールの機能の多くはその後の,クリップしたビデオの断片をいかにしてつなげ一本の作品とするか,という作業の支援を目的としており,切り取った部分間の関係を見出したり整理したりすることを支援するものはではない.

2.TIME-ART システム

そこで我々は,上述のようなビデオ分析作業の比較的初期段階における探索的分析作業を支援するためのツール Time-ART を開発した.

2.1 アプローチ:空間配置

我々のアプローチでは,探索的ビデオ分析作業を,問題そのものを規定しながら解を構築するという不良設定問題,すなわちデザイン初期段階の作業とみなした[6] .そして,デザイン初期段階プロセス支援として我々が研究をおこなってきた空間配置というインタラクションパタン[4] を適用した.デザイン初期段階では,スケッチなどのような,任意の精確さや決定度で試行錯誤をおこなうことのできる外在化表現が非常に重要である [1] .そこで Time-ART では,ビデオクリップやサウンドクリップ,注釈などを自由に空間に配置することで,デザイン作業におけるスケッチ[1] と同様に,試行錯誤に有用な外在化表現をユーザに提供することができることとした.

2.2 Time-ART を用いた分析作業

空間配置インタラクションに加えてTime-ART では,
 
  1. ビデオやサウンドデータを閲覧中にできるだけ自由にクリップできるためのインタフェース,
 

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