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サックスの本 −  補足 、 蛇足 、おたく

オープンソースビジネス部 / 西原聡士


 

GSletter vol.33のBooksコーナーで青木さんが紹介されたサックスの本だが,少しばかり補足したいと思う.

映画にもなって,サックスの著書の中でも最も名の知られた本だと思われる『レナードの朝』だが,邦訳は実は2種類ある.晶文社版とハヤカワ文庫版である.どちらも1990年版を底本としているにも関わらず内容にはかなりの相違が見られる.もっとも原書は見ていないが,構成から推測するにハヤカワ文庫版の方がオリジナルに近いように思われる.

晶文社版の訳者あとがきによると,「著者の了解を得て,付録の一部および脚注の多くを割愛し」たとある.ここでは,腰巻きに「新訳決定版!」と謳っているハヤカワ文庫版をベースにする.端的に言ってしまうと,晶文社版は,ハヤカワ文庫版の第3部を分割し,それに付録の「『レナードの朝』の演劇と映画」を加えて,ハヤカワ文庫版にはない第4部を設け,付録はばっさり削除している.「付録の一部を割愛」したのではなく,「付録の一部のみ(ほんまに1partのみ)を収録」したわけである.確かに付録をばっさり削除したことに関しては一文を入れてあるが,ないよりあった方が佳い.ハヤカワ文庫版では一つの章になっている第三部エピローグを分割して二つの章にしてしまうのはいかがなものかと思われる.
 
 
 
 
 

そんなわけであるから,結論からいうと,『レナードの朝』に関する限り,1993年刊の晶文社版より,2000年刊のハヤカワ文庫版を入手するべきである.迷った末,両方買って正解だった.なお,ハヤカワ文庫版は,巻頭にはモノクロ写真8ページがあり,それを見ると,例の映画が実に忠実にセットを組んだかが判る.

2000年12月現在,リストにはもう一冊追加しなければならない.『色のない島へ』大場紀雄監訳,春日井晶子訳,早川書房,ISBN4-15-208225-9である.

単独本ではないが,サックスが序文を書いている本が,目に付く限りでは2冊訳されている.社内報『出帆』11月号で取り上げられた,V.S.ラマチャンドラン,サンドラ・ブレイクスリー『脳のなかの幽霊』角川書店,ISBN4-04-791320-0,と,スーザン・シャラー『言葉のない世界に生きた男』中村妙子訳,晶文社,ISBN4-7949-6124-3である.後者はサックスの『手話の世界へ』でたびたび言及されている.

みすず書房の『消された科学史』は,サックスの単独本ではなくて,ジョナサン・ミラー,スティーヴン・ジェイ・グールド,ダニエル・J・ケヴレス,R.C.ルーウォンティンらとの共著である.編集はロバート・シルヴァーズ.オンライン・ショップ等で見つからない場合はISBNで引いてください.



 
 

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