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 第三回  リレーエッセイ

産業システム第2部第3G   松岡 泰史


 

Smalltalk 関係の解説書やFAQでは執筆者の思惑が絡みさまざまなSmalltalkが紹介されています。ここでは企業システムで使われているメジャーな製品についてのみ触れます。各製品とも主なプラットフォームはWindowsと商用Unixです。
 

[VA] 

現在 Smalltalk のメジャー製品と言えば、IBM社の VisualAge Smalltalk です。94年の登場以来着実にバージョンアップを重ね、企業ユーザを吸収しています。VisualAge Smalltalk は IBM社 の開発環境であるVisualAge ファミリーの中核を担っており、同ファミリーの他環境にIDEを提供しています。特に VisualAge for Java や VisualAge Generator では依存度が高いといわれています。Smalltalk界ではメジャーなVisualAge Smalltalkですが日本ではあまり使われていないと思われます。日本語版も販売されています。

  特徴としては Smalltalk IDE、ビジュアルプログラミング環境、チーム開発支援環境(ENVY)という3つの要素の標準採用が挙げられます。特にシステムブラウザはチーム開発支援環境の一部になっています。最新版では、Server Smalltalk (OS/390版を含む) 、Webサーバ、UMLツール、データベース接続機能、Java RMIによるWebSphere連携、Ultra Light Client、永続化機能、他IBM製品とのインターフェースなど主にサーバ側の機能がサポートされています。(注1)
 

[VW]

約20年の歴史があるSmalltalk-80の正当な後継 Smalltalk処理系である VisualWorks はParcPlace-Digitalk社の製品でした。同社は ObjectShare社と改名して、99年にはVisualWorksを部門ごと Cincom Systems社へ売却しました。95年の合併以降、低迷が続いていましたが開発・販売元の交代により本格的なバージョンアップが期待できる状況になっています。日本で使われている Smalltalk の多くは VisualWorks です。日本語版も販売されています。

  特徴としては基本機能が強力である事が挙げられます。開発ツールのソースコード開示、異機種間での高度な移植性、バグフリーな枯れた仮想イメージ、タフな仮想マシン等の長所があります。最新版ではXML対応機能やチーム開発支援環境(StORE)が追加されました。オプションとして DLLインターフェース、Web サーバ(VisualWave)、CORBA対応機能(Distributed Smalltalk)、COM対応機能、データベース接続機能などが用意されています。(注2)
 
 

  

[GS]

GemStone/SはGemStone社の14年の歴史を持つオブジェクト指向データベースです。当初からSmalltalkインターフェースを持っているので、サーバ用Smalltalk 言っても良いでしょう。昔から分散オブジェクトを使ったアプリケーションサーバ的な構成を採用していたのでEJBサーバの原形とも考えられます。VisualAge Smalltalk用、VisualWorks用、Java用, CORBA用の各種インターフェース、RDBとの接続機能などが用意されています。EJBサーバのGemStone/Jも販売されています。
 

  もともと商用Smalltalk はスタンドアロン型のツールとか、Fat クライアントの開発兼実行環境として発展してきました。90年代後半以降、コンピュータ業界全体がインターネットを利用したシステムへシフトしようとしているのは明らかです。Smalltalkも上手く対応しなければ淘汰されかねません。最近の傾向としてはサーバ側の機能、特にWebブラウザから利用できる仕組みが強化されています。例えば、VisualAge Smalltalkの最新版ではIBM社のWebサーバ製品であるWebSphereとの連携が強化され、EJBサーバのような構成がとれるようです。現在の主要Smalltalkベンダの全てがDBベンダでもあることが、Smalltalkの方向性を暗示していると思われます。

  SmalltalkはGUIが目立つのですが、実はそれを支えている開発環境に真の価値があります。プロジェクト開発のアプリケーションロジック構築において、枯れてきたバグフリーな環境と強力なデバック機能は魅力的です。中規模以上のプロジェクトでないと御利益はありませんがチーム開発支援環境も優れた機能です。ネットワーク経由でソースコードを共有するのですが、普段はレプリケーション機能を使い各自でソースコード管理を行ないます。必要な時にリポジトリにコミットをおこない、ソースコード管理者にあまり負荷をかけずに数十人での開発や分散開発ができます。

  製品版は歴史的に$5000以上の高額で販売されているのですが、近年主要Smalltalkベンダでは製品版に近い形の非商用版や評価版をタダで配布しています。64M以上のRAMを搭載していればPentium クラスのPCで使用できます。さらにPDFマニュアルが付属または公開されています。
 
 



 
 

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