部屋


朝が階段をおりてくる
いろんなものがふたしかになる
まだ
みおわらない夢のように

パンをたべながらないていた娘
パンをたべようともせずにないていた娘
そして
水をのんでいたひとりの娘

うすぐらい壁のうえに
娘たちがひっそりとしがみついている
あかるくなりかけた壁のうえで
娘たちの目はこちらをみているともつかない

病気の窓ぎわ
ガラスびんのようにくびれている鳥の
内部は
ためらいながらくさりはじめる

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[Postscript] 先日,中小企業の社長三人が首吊り自殺を
した事件で,どの新聞も指摘しなかったのだが,あれは,
去年の暮から今年の初めにかけての台湾映画祭 (東京・三
百人劇場) で何回か上映された映画「ファイブ・ガ─ルズ
& ア・ロープ」の影響だとわたしは感じた.

河出文庫版の「中国怪談集」に収められたイェ・ウェイリ
ンの原作は,人生に絶望した五人の少女が一本の白い縄で
首を吊るというできごとを広西省の土俗的なムードを背景
に記録したマジック・リアリズム (魔幻小説)の佳品.

映画はそれを北の黄土地帯に置き換えてあったが,映像と
してのインパクトはなかなかのものだった.きっと,あの
社長たちの一人がこの映画を観ていたにちがいない,もし
かしたらわたしの隣の暗い座席で ......

そういえばわたしもかつて何人かの少女たちのイメージを
詩に書いたことがあったと思いだして,引っ張り出してき
たのがこの作品.とはいえ,これは20世紀東京の室内風景
をバックにしたコトバ遊びにすぎないので,なんら現実に
働きかける力は持っていない.


SRA KISHIDA Kouichi, k2@sra.co.jp