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  ******  夜  ******


  空のうえには やはり
  大きな白い顔があって
  そして
  その眼はなにもみていない

  公園の樹は みんな めざめている


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  ******  雨  ******


  さっきまで
  空のうえで 空をぬらしていたたものたちは
  いったい なにをかぞえていたのだろう
  ほら たれさがる夢のてのひら

  けれど
  そこにかきとめられたいくつかのふしぎな銀色の数字を
  わたしは どうしても読むことができない

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[Postscript]

小説の世界では,長編より短編のほうがむずかしいといわれているのに,詩の
場合,短ければなんとなくだれにでも「詩のようなもの」ができてしまうのは,
なぜだろう?

みじかいコトバで勝負するという意味では,宣伝コピーの世界も似たようなも
のだが,あちらにはスポンサーとか一般消費者大衆とかいった恐ろしい存在が
いて,そうした障害を乗り越えて生き残れる作品はほんのわずかしかない.ス
ポンサーのいない「詩」の世界は, それと比較したら気が楽だといってよいの
だろうか?

ちょっと気のきいたいいまわしや, ことばの組み合わせに対する感情移入, あ
るいは自己陶酔と, そのくりかえし. しかし, わたしたちの心は, いつかそれ
に飽きてしまう.

俳句や和歌などの短詩型文学において,季語etc のわずらわしい制約があるの
は,五目並べの勝負を, 先手必勝でなく, おもしろいものにするために,いろ
いろな禁じ手その他複雑な規則が設けられている (一方, 囲碁のルールは恐ろ
しいほど簡単だ!) のとおなじことなのだろうか?

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上にあげた最初の短詩(?) の成立過程をふりかえってみると,深夜の公園を散
歩していたとき,最後の1行が, まるでわたしを取り囲む木々たち (わたしよ
りはるかに長い時間を生きてきたケヤキの巨木たち)からの message のように,
心に浮かんできたのであった.

とりあえずその前に4行をつけくわえて,なんとなく「詩みたいな」かたちに
ととのえてみたのだが,このままではただ,とりとめのない孤独感を表現した
だけであって,あの時の木々のささやきが意味していたものとは,まったく異
なっている.一篇の「詩」として完成させるためには,いま最後の1行とのあ
いだ空いている行間に,何行か,あるいは何十行かのコトバを埋めなければな
らないように思う.

その意味でこれは未定稿.

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さて, そして, 2番目の未定稿は いったい どう始末したらいいのか ?


SRA KISHIDA Kouichi, k2@sra.co.jp