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                 *** 移動食卓 ***
    
    
    あまりにも安易な侮辱への扉を背面に開けば  わ
    
    れらの都市は階段教室状に拡がる  鏡は  だから
    
    空の比喩として適切ではない  街区  その病的な
    
    構造  優しく共有された皮膚の領域を滑る負の指
    
    標群  できれば星たちの殺意と交換しておきたい
    
    薄明の午後  すべての声に含まれているにがい鉱
    
    石  下痢状の横断歩道  非塑性の涙  きみがいま
    
    刺したのはわたしの幻影だ  さあ  ふたりでかれ
    
    の死体を食べてしまおう  まるで水みたいな窓の
    
    風景を飲み  食卓にはまだ生きている楽隊の演奏
    
    を載せて  きみは鏡像  きみは鏡像の左手  きみ
    
    は鏡像の左手に握られた短剣  きみはその短剣の
    
    影でしかなく  そこに脚を組み坐っている娘の視
    
    線に溶ける  もはや花束の匂いのように単純な確
    
    信はない  風はいつもとおなじように巻き  鳥た
    
    ちはわたしと嘴を共有しつつ移動する  なにかし
    
    らの予感とその解消  乾きすぎたパンのように切
    
    られる時間  わたしがその切断面を信じていよう
    
    といるまいと  路上の給仕人たちのいやらしい微
    
    笑を避けて通るわけにはいかない  かれらはつね
    
    にお互いの華麗な身振りを賞賛しあい  わたしに
    
    は  もう  そうした無声の暗号を調理する器具が
    
    見えないのだから

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    [Postscript]  ちかごろわたしの街にもふえてき
    た排気ガスカフェ.何年か前に Marina del Ray
    のそうしたレストランで友人と食事をしたときに
    紙ナプキンに書き止めておいた Light Verse. そ
    の友人はアルコールをたしなまないので,わたし
    一人が赤ワインに酔ってしまった.
    


SRA KISHIDA Kouichi, k2@sra.co.jp