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人工知能学会知識流通ネットワーク研究会にて発表した論文「知識流通における距離と近接性」が2008年度研究会優秀賞を受賞しました。(2009/06/18)

人工知能学会知識流通ネットワーク研究会にて弊社取締役中小路久美代が発表した「知識流通における距離と近接性」という論文(葉雲文氏(SRA)、山本恭裕氏(東京大学)との共著)が、高松にて開催された人工知能学会全国大会にて研究会優秀賞を贈呈されました。

「今どき人工知能って...」という声も少なくない人工知能学会ですが、その中身は、家庭用ロボットの研究(ロボットとどうやって対話するか)やソーシャルコミュニティのネットワーク分析(アマゾンのロングテールがどうやって発生してきたか)、マルチメディアデータのメタデータ自動付加技術(YouTubeなどにおける動画をどうやって探すか)など、産業界における応用に直結したトピックが主な研究テーマとなっている学会です。今回表彰を受けた知識流通ネットワーク研究会は、業務分野ごとに構築される知識をプロジェクト間の共有を目的として2007年度に発足したものです。たとえばソフトウェア開発プロジェクトにおけるメーリングリストやWikiといった技術や導入事例などについての研究成果が活発に交換されています。

今回表彰を受けた論文は、組織における知識や情報の流通を活性化する要因として、組織を構成するメンバー間の距離と近接性に着目したものです。物流では、物理的な距離のみでなく、交通機関の有無や渋滞の有無などが、流通にかかるコストの要因となります。同様に、人同士の間の情報の流れにおいても、そのようなコストの要因があるだろうと考えています。メンバー同士で相互に知っていることが多いか少ないかの認知的距離、通信環境の有無や通信経路の帯域幅、あるいは日本語が通じるか、といった構造的な距離、組織が同じか離れているかといった組織的な距離、最後にその人同士が知り合いであるか否かといった社会的な距離、という四つの距離と近接性を提案し、それを利用してどのように情報共有を促進していけばよいかというアイディアを論じたものです。その独創性と有効性を高く評価され、表彰を受けました。

この研究は、SRA-KTLが、2003/10-2006/03の間実施した、文部科学省独創的革新技術開発研究提案公募研究「ダイナミックコミュニティによる知識共創に関する研究」による研究成果を発展させたものです。今後は、業務知識共有支援のツールや社内の知識流通促進基盤への応用を目指して引き続き研究を進めていきます。